イナビル(ラニナミビル)|初めてでも失敗しない使い方と注意点
A・B型インフルエンザ/単回吸入が基本/妊娠・授乳のポイントも
高熱・悪寒
全身のだるさ・関節痛
発症48時間以内
イナビルは、インフルエンザウイルスの増殖を抑える吸入薬です。多くの方がその日1回の吸入で治療が完了します(年齢で容器本数が異なります)。
目次
薬局カウンターでの会話例
患
はじめてです。飲み薬みたいに何日も続けなくていいんですか?
薬
はい、基本はその日1回吸うだけで終わりです。年齢により使う容器数が違うので、ここで一緒に確認しましょう。
患
子どもは1容器って本当?
薬
10歳未満は1容器(20mg)、10歳以上・成人は2容器(合計40mg)が標準です。どちらもその日のみでOKですよ。
用量・回数(標準)
| 目的 | 年齢 | 用量・回数 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 治療 | 10歳未満 | 1容器(20mg)を単回吸入(容器の2か所=2吸入) | できれば発症後48時間以内に開始。 |
| 10歳以上・成人 | 2容器(40mg)を単回吸入(合計4吸入) | 当日のみで完了。 | |
| 予防(家族内曝露など) | 10歳未満 | 1容器(20mg)×1日のみ | 接触後2日以内に開始が目安。 |
| 10歳以上・成人 | 2容器(40mg)×1日のみ/または 1容器×1日1回を2日間 | 医師の指示に従う。 |
※「1容器」には薬が2か所に分かれて入り、実際は2回吸って1容器を使い切る仕様です。10歳以上で2容器の場合は合計4回吸入します。
吸入のコツ(失敗しない3ステップ)
① 準備
- 外袋は直前に開封(湿気対策)。
- 指示どおりにセットして孔を開ける。
② 吸入
- 一度息を軽く吐く(器具から外して)。
- 口を密着→一気に強く吸う。
- 5秒ほど息止め→ゆっくり吐く。
③ 確認
- 表示窓などで薬が出たか確認。
- 必要回数(1容器=2吸入)を忘れずに。
- 軽くうがいで喉の刺激を予防。
うまく吸えない時:少し休んでからもう一度吸い直してOK。同日中に所定回数を完了しましょう。
どんな症状におすすめ?(受診目安も)
- 典型症状:高熱・悪寒・筋肉/関節痛・強い倦怠感、咳・咽頭痛など。
- 48時間以内の開始で発熱期間の短縮が期待できます(遅い開始では効果が限られることがあります)。
- つらい呼吸苦、意識障害、脱水、基礎疾患の悪化、乳幼児の哺乳・機嫌低下などは早めに受診。
副作用と見守りポイント
- よくある:のどの違和感、軽い咳、鼻・咽頭刺激感、まれに下痢・吐き気。
- 吸入後にゼーゼー(喘鳴)や強い咳込みが続く→使用を中止し受診。
- 小児・未成年では、インフルエンザそのものでも急な飛び出し等の異常行動が報告されます。投与後しばらくは目を離さず見守りを。
妊娠・授乳中の注意
- 吸入薬のため全身への移行は比較的少ないと考えられ、妊娠中でも必要に応じて使用されます。
※妊娠週数・基礎疾患で判断が変わるため必ず主治医に相談。 - 授乳中も一般に使用可能です。母乳への移行はごくわずかと考えられますが、念のため授乳タイミングの調整や感染対策(手洗い・マスク)を。
よくある質問(Q&A)
- Q. 「1容器=1回吸えば終わり」ですか?
- A. いいえ。1容器の中に薬が2か所に分かれているため、実際は2回吸って1容器を使い切ります。10歳以上・成人で2容器の場合は合計4回です。
- Q. うがいは必要?食事はいつから?
- A. 軽くうがいをすると喉の刺激を減らせます。食事は吸入後すぐでもOKですが、咳込みが落ち着いてからが安心です。
- Q. 予防で処方されました。いつ始める?
- A. 家族内で患者さんに接触後2日以内の開始が目安です。医師の指示に従ってください。
- Q. 他薬(タミフル・ゾフルーザ)との違いは?
- A. イナビルは吸入1日で完結。タミフルは5日間内服、ゾフルーザは1回内服。吸入が苦手・喘息合併など個別事情で選択が変わります。
- Q. 乳糖不耐症やアレルギーが心配
- A. 乳糖が賦形剤として含まれます。重い乳製品アレルギーがある方は必ず事前に医師・薬剤師へご相談ください。
- Q. 小児は本当に1容器で合ってますか?
- A. はい、10歳未満は1容器(20mg)、10歳以上・成人は2容器(40mg)が標準です。
安全に使うためのチェックリスト
- □ 発症から48時間以内に開始できる
- □ その日に必要本数を吸い切る(1容器=2吸入)
- □ 投与後しばらくは見守り(小児・未成年)
- □ 妊娠/授乳・基礎疾患・喘息の有無を事前に共有
※本記事は一般向けの解説です。診断・治療は必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。