アザニン(アザチオプリン)とは?効果・副作用・注意点を薬剤師が解説
免疫をやさしく調整長期で使うことが多い定期採血が安心のコツ
- 自己免疫の暴走をしずめる「免疫抑制剤」
- リウマチ・SLE・炎症性腸疾患・自己免疫性肝炎・臓器移植後などで使用
- 効果はゆっくり:数週〜数か月で効き目が安定
👩⚕️薬剤師と患者さんのやさしい会話
またフェブキソスタット/トピロキソスタット(痛風薬)やアロプリノールは強い相互作用があり、基本避けます。生ワクチンは原則避けましょう。
どんな病気で使う?
自己免疫疾患
- 関節リウマチ、SLE、皮膚筋炎/多発性筋炎、強皮症 など
- 自己免疫性肝炎・炎症性腸疾患(UC/CD)でも使用されます
移植医療
- 腎・肝・心・肺などの臓器移植後の拒絶反応予防
※日本の添付文書にも上記効能が記載されています。
飲み方・検査のタイミング
| 開始用量 | 病気や体格で個別化。目安は2 mg/kg/日前後(医師指示)。遺伝子(TPMT/NUDT15)によっては20〜80%に減量開始することがあります。 |
|---|---|
| 服用回数 | 1日1〜2回(食後推奨)。飲み忘れは気づいた時に1回分、次が近ければスキップ。 |
| モニタリング | 最初の4〜8週は毎週〜隔週でCBC・肝機能、安定後は約3か月ごとに採血が一般的。 |
| 実感の目安 | 4〜12週で徐々に。長期で炎症を抑える“体質づくり”の薬です。 |
※遺伝的に代謝が弱い方(TPMT/NUDT15活性低下)は骨髄抑制リスクが高く、少量開始や代替薬の検討になります。
主な副作用とサイン
- 感染症にかかりやすい(発熱・咽頭痛・長引く咳)→ 早めに連絡/受診
- 骨髄抑制:白血球↓でだるい、血小板↓であざ/鼻血
- 肝機能障害:だるさ、食欲不振、尿が濃い、黄疸
- 胃腸症状:吐き気、腹痛、下痢
- 長期では皮膚の紫外線感受性↑(日焼け対策を!)
ワクチンは不活化ワクチン(インフル/肺炎球菌/新型コロナ等)OK。生ワクチン(MR・水痘・ロタ・経口ポリオなど)は原則避けるか専門医判断で個別対応。
飲み合わせに注意(とくに重要)
- フェブキソスタット/トピロキソスタット(痛風薬):禁忌・併用不可(重い骨髄抑制)
- アロプリノール:強い相互作用。どうしても併用時は専門医で大幅減量の上で厳密管理。
- ワルファリン:効き方が変わること。PT-INRを密に確認。
- 各種生ワクチン:原則避ける。必要性は専門医に相談。
味・剤形・保管
- 錠剤で味や匂いはほとんど気になりません(砕かないのが基本)。
- 直射日光・高温多湿を避け、子どもの手の届かない所へ。
費用の目安(薬剤のみ)
薬価の一例:アザニン錠50mg=73.4円/錠(公的資料より)。
例)100mg/日(50mg×2錠)の場合:
73.4円×2錠=146.8円/日(薬価) → 3割負担:約44円/日(調剤料など別途)。
1か月(30日)で約1,300円+調剤料等が目安になります。
※用量・銘柄・薬価改定・負担割合で変動します。実際の窓口負担は調剤基本料や管理料が加わります。
妊娠・授乳中での注意点
- 妊娠:病気の安定が最優先。必要性が高い場合に専門医管理下で継続されることがある薬です。自己判断で中止せず、妊娠計画や判明時はすぐ主治医へ。
- 授乳:母乳中への移行は少なく、適正使用下で授乳と両立できるという報告が多いです。赤ちゃんの採血が必要なケースもあり、主治医と小児科で連携しましょう。
- どちらの場合も、感染対策(手洗い・人混み回避・ワクチン計画)と定期採血を丁寧に。
よくある質問(Q&A)
Q. 飲み忘れました。どうすれば?
気づいたら1回分を服用。次の時間が近ければ忘れた分は飛ばす。2回分まとめ飲みはNGです。
Q. 風邪をひいたかも。薬は続けていい?
発熱・強い喉痛・悪寒・水痘/帯状疱疹の疑いは連絡&受診。自己判断での中止/再開は避け、指示に従いましょう。
Q. サプリや市販薬は一緒に飲めますか?
痛風薬(フェブキソスタット/トピロキソスタット/アロプリノール)は特に要注意。ハーブや高用量の抗酸化サプリも念のため事前相談を。
Q. どのくらいで効きますか?
4〜12週かけて徐々に。効果が出る前に副作用チェックの採血を続けることが安全に使うコツです。
Q. ワクチンは受けていい?
基本は不活化ワクチンは推奨、生ワクチンは原則避ける。帯状疱疹ワクチンは不活化製剤(シングリックス®)が選ばれやすいです。個別に主治医へ。
Q. 採血の頻度は?
開始〜増量期は毎週〜隔週、安定後は約3か月ごとが一般的です(病状や体質で前後します)。
まとめ
- アザニンは免疫の過剰反応を抑える薬。効果はゆっくり、長期で安定させる。
- 定期採血と感染対策が安全に続ける鍵。
- 痛風薬(フェブキソスタット等)と生ワクチンは要注意。
- 妊娠・授乳は専門医と相談すれば両立できる場合あり。自己判断の中止は避ける。
参考情報
- 日本公的データ(添付文書/IF):アザニン錠50mgの薬価・禁忌(フェブキソスタット等、生ワクチン)
- TPMT/NUDT15と初期用量の調整:国際ガイドライン要約
- モニタリング(CBC/LFT):導入初期は毎週〜隔週、維持期は約3か月ごと
- 授乳:母乳移行は少なく、適正使用下で授乳と両立できる報告が多数
※詳しい文献は薬局にていつでも提示いたします。