タミフル(オセルタミビル)を初めて使う方へ
「どんな症状のときに飲む?」「子どもの量は?」「妊娠・授乳中は大丈夫?」——薬剤師が患者さんとの会話形式で、やさしく・しっかり解説します。
発症から48時間以内が目安
大人:75mgを1日2回×5日
小児:体重あたりで計算
どんな症状におすすめ?(受診の目安)
「高熱(目安:38℃以上)+急な悪寒・関節痛・筋肉痛・強いだるさ」が出たら、早めに受診しましょう。検査でA型/B型と診断されたインフルエンザに使います。
飲み方(大人・小児・予防)
大人(13歳以上)の治療
通常:75mgを1日2回 × 5日間(カプセル/ドライシロップいずれも可)。開始は症状出現から2日以内が目安です。
小児の治療(ドライシロップ3%)
日本の承認用量(上限は1回75mg)
| 年齢区分 | 1回用量(オセルタミビルとして) | 回数/期間 |
|---|---|---|
| 新生児・乳児 | 3 mg/kg | 1日2回 × 5日 |
| 幼小児 | 2 mg/kg | 1日2回 × 5日 |
ドライシロップ3%は1gに有効成分30mgを含みます(調剤時の計算に使用)。
参考:海外でよく使う「体重別の固定量」は?
| 体重 | 治療量(1回) | 回数 |
|---|---|---|
| ≤15kg | 30mg | 1日2回 |
| >15~23kg | 45mg | 1日2回 |
| >23~40kg | 60mg | 1日2回 |
| >40kg | 75mg | 1日2回 |
日本添付文書でも「国外の参考」として掲示されています。院内在庫や服用状況に応じて医師・薬剤師が調整します。
インフルエンザ予防投与(暴露後)
- 大人:75mgを1日1回 × 7~10日
- 小児:2 mg/kgを1日1回 × 10日(上限1回75mg)
同居家族の高齢者・持病がある方など、限定された状況で検討します。暴露から2日以内に開始が目安。
腎機能が低い方
腎排泄型の薬です。クレアチニンクリアランス(Ccr)10~30mL/分では治療:75mg 1日1回、予防:75mg 隔日など、医師の指示で減量します。Ccr≦10mL/分の推奨用量は確立していません。
患者さんとの会話でわかるタミフル
副作用と注意
よくある副作用
- 吐き気・嘔吐、腹痛、頭痛など(食後に飲むと軽減しやすい)
重い副作用(まれ)
- 重い皮膚反応(発疹/水ぶくれ)やアレルギー症状
- けいれん、意識の変化、強い混乱・幻覚などの神経症状
異常行動の注意(日本の添付文書)
- 薬の有無にかかわらず、インフルエンザ時に報告あり
- 就学以降の男性で報告が多く、発熱後2日以内に起こりやすい
- 自宅療養時は転落・飛び出し対策を(窓やベランダ、階段、深夜の外出防止)
出典:タミフルドライシロップ3%添付文書(重要な基本的注意)。
妊娠・授乳中のポイント
妊娠中
妊娠中にインフルエンザへ罹患した場合は重症化しやすいため、オセルタミビルが推奨されています(他剤より安全性データが豊富)。発症早期の開始が大切です。
授乳中
母乳への移行は少なく、授乳中も通常は使用可能とされています。ご不安があれば授乳タイミングの調整など個別にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 48時間を過ぎてしまいました。もう意味ない?
Q. 吐いてしまいました。飲み直しは?
Q. 予防で飲めますか?家族にインフルが出ました。
Q. 子ども用ドライシロップの量、どうやって計算するの?
Q. 腎臓の機能が悪いのですが、飲めますか?
Q. よくある副作用は?食事は?
Q. 「異常行動」が心配です…
安全に使うためのまとめ(チェックリスト)
- ✅ 検査でインフルエンザA/Bが疑われたら早めに開始
- ✅ 大人は75mg 1日2回×5日/子どもは体重あたりで(上限75mg/回)
- ✅ 吐いたら30分ルールを確認
- ✅ 小中高生は発熱後2日間の見守り・転落防止
- ✅ 妊娠・授乳は主治医と相談しつつ基本は使用可
出典・参考
・PMDA「タミフルドライシロップ3% 添付文書(2024年10月改訂)」:効能効果、用法用量(小児3mg/kg/2mg/kg、上限75mg)、開始時期、予防投与、腎機能別の用量、異常行動の注意、成分含量(1g=30mg)。
・CDC「Treating Flu with Antiviral Drugs」:48時間以内の開始推奨、重症例では遅れても有益、妊娠中はオセルタミビル推奨、一般的な副作用、カプセル開封混和の方法。
・CDC「Flu and Breastfeeding」:授乳中はオセルタミビルが第一選択、母乳への移行は少ない。
・Medicines for Children「Oseltamivir for influenza」:嘔吐時の再投与の目安(30分ルール)。
※本ページは一般向け解説です。実際の使用は処方内容・体重・腎機能・併用薬などにより個別調整されます。体調の変化が強い/長引く場合は医療機関へご相談ください。