フスコデQ&A|よくある疑問を薬剤師が解説
「咳止めでフスコデが出たけど、どんな薬?」「眠くならない?」をやさしく説明します。
フスコデは、病院でよく処方される「しっかり効くタイプの咳止め」です。
この記事では、初めてフスコデ配合錠・フスコデ配合シロップを使う方向けに、薬剤師との会話形式で
- どんな咳におすすめか
- 飲み方・注意点
- 眠気・便秘などの副作用
- 重要妊娠・授乳中の注意点
をまとめました。「これって大丈夫?」「ここが不安…」というよくある質問もQ&Aでお答えします。
フスコデってどんな薬?
フスコデには、錠剤の「フスコデ配合錠」と、飲みやすい「フスコデ配合シロップ」があります。どちらも次の3つの成分が一緒に入ったお薬です。
- ジヒドロコデイン:脳の「咳のスイッチ(咳中枢)」をしずめて咳を抑える成分
- dl-メチルエフェドリン:気管支を広げて、息苦しさや咳をやわらげる成分
- クロルフェニラミン:アレルギーの物質(ヒスタミン)の働きを抑えて、気道が狭くなるのを防ぐ成分
つまりフスコデは、「咳のスイッチ」と「気管支の狭さ」両方に働きかける、病院専用の咳止めとイメージしてもらうと分かりやすいです。
✔ フスコデが使われる主な病気
- 風邪・のど風邪(感冒・上気道炎)に伴う咳
- 急性・慢性気管支炎の咳
- 肺炎や肺結核に伴う咳 など
あくまで「咳という症状」を抑える薬で、病気そのものを治す薬ではありません。
どんな咳におすすめ?患者さんとの会話
・夜眠れないほどコンコン続く咳や、
・胸の奥から出るようなつらい咳のときに使われることが多いですよ。
痰(たん)が少ない・乾いた咳でも使われますが、痰をどんどん出した方がいいタイプの咳では、別の薬が選ばれることもあります。
こんな時は要注意
- ゼーゼー・ヒューヒューする(喘息の疑い)
- 血のまじった痰が出る
- 息切れがひどい、胸が締め付けられる
このような場合は、フスコデで様子を見るのではなく、必ず医師に状態を伝えてください。
飲み方・使い方のポイント
フスコデは、通常1日3回に分けて内服するタイプの薬です(朝・昼・寝る前など)。
処方箋に書いてある回数・量をきっちり守ることがいちばん大切です。多く飲めば早く治る、というお薬ではありません。
- 飲み忘れに気づいたら → 気づいた時点で1回分を飲み、次の分は時間をあけてください。
- 2回分をまとめて一度に飲むのはNGです。
- シロップは、付属のカップやスポイトできちんと量を量って飲みましょう。
子どもへの使用について
フスコデは、12歳未満のお子さんには使用しないことが添付文書上のルールになっています。呼吸が弱まりやすいなど、安全性の面から使用制限が設けられています。
「兄弟に余っていたから…」などで、子どもに絶対に流用しないでください。
フスコデ よくある質問Q&A
Q.どのくらいで効いてきますか?
A.通常は飲んでから30分〜1時間くらいで効き始めることが多いです。個人差はありますが、うまく合うと「さっきより咳で起きにくくなった」と感じる方が多い印象です。
Q.フスコデを飲むと眠くなりますか?
A.はい、眠気が出る可能性があります。成分の中に、脳に働きかける成分(ジヒドロコデイン)と、眠気を起こしやすい抗ヒスタミン(クロルフェニラミン)が含まれているためです。
飲んでみて「ボーっとする」「ふらつく」感じがあれば、車の運転や高いところでの作業は避けましょう。
Q.便秘になりやすいって本当?
A.ジヒドロコデインは、いわゆる「麻薬性鎮咳薬」の仲間で、便秘を起こしやすい成分です。もともと便秘気味の方や高齢の方は、様子を見ながら使用しましょう。
数日出ない・おなかが張って苦しいときは、早めに医師・薬剤師に相談してください。
Q.市販の風邪薬と一緒に飲んでも大丈夫?
A.市販の風邪薬にも、咳止め成分・気管支拡張成分・抗ヒスタミンが入っていることが多く、フスコデと成分が重なってしまう可能性があります。
成分が重なると、
- 眠気・ふらつきが強くなる
- 動悸が出る、手が震える
などの副作用が出やすくなります。自己判断で市販薬を追加する前に、必ず薬剤師に確認してください。
Q.お酒と一緒に飲んでもいいですか?
A.おすすめできません。
フスコデもアルコールも、どちらも脳のはたらきを抑える方向に作用するため、眠気・だるさ・判断力の低下などが強く出るおそれがあります。
フスコデを飲んでいる間は、アルコールは控えるのが安全です。
Q.フスコデには依存性(クセになる心配)はありますか?
A.ジヒドロコデインは「麻薬性鎮咳薬」の仲間で、長期・大量に使い続けると依存性のリスクがあります。
処方で出る量・日数(数日〜1〜2週間程度)を守って使う分には、必要以上に心配しすぎる必要はありませんが、自己判断で飲み続けるのは絶対にやめましょう。
Q.どのくらい続けて飲んでいいの?
A.通常は、風邪や気管支炎がつらい時期の「短期間」使用です。
数日飲んでも
- 咳が全く良くならない
- 逆に息苦しさが強くなる
- 胸が痛い・血の混じった痰が出る
などの症状があれば、薬でごまかさずに再受診してください。
妊娠・授乳中にフスコデを使うときの注意点
フスコデには、おなかの赤ちゃんや赤ちゃんへの影響を考えて、慎重に使うべき成分が含まれています。
- 添付文書上は、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用」となっています。
- 特に妊娠後期や出産直前に、ジヒドロコデインなどの成分を使うと、赤ちゃんの呼吸が弱くなるおそれが指摘されています。
- 妊娠中に咳がつらいときは、まずは主治医に「妊娠何週目で、どんな咳か」を伝え、妊婦さんでも比較的安心して使える薬を検討してもらいましょう。
★すでに妊娠中にフスコデを飲んでしまった方へ
短期間・通常量であれば、すぐに異常が出ることは多くありませんが、自己判断で飲み続けず、必ず産婦人科で相談してください。
- 成分の一部は、母乳の中に移行することが分かっています。
- 似た成分(コデイン)では、母乳を通して赤ちゃんに入ったことで、強い眠気・呼吸が弱くなるなどの報告もあります。
- 添付文書では、「服用中は授乳を避けること」と明記されています。
どうしてもフスコデが必要と判断された場合は、処方日数を短くする・授乳時間をあける・一時的にミルクに切り替えるなど、主治医とよく相談しながら使う必要があります。
妊娠・授乳中の方は必ず伝えてください
- 内科や耳鼻科を受診するときも、「妊娠中(何週)」「授乳中」であることを、最初に伝えるのが安心です。
- 「授乳中だけど、どうしても咳がつらい…」という場合は、フスコデ以外の選択肢(メジコン・漢方薬など)が検討されることもあります。
フスコデの主な副作用と、受診の目安
フスコデで比較的よくみられる副作用として、次のようなものがあります。
- 眠気・だるさ・ふらつき
- 便秘・吐き気・おなかのはり
- 口のかわき
- 動悸(ドキドキ感じる)、軽い手のふるえ など
すぐに受診してほしい症状
- 息苦しい、呼吸が浅い・遅い感じがする
- ひどい眠気で起きていられない、意識がもうろうとする
- じんましん・顔や喉の腫れ・ゼーゼーするなどアレルギーの症状
- 胸の痛み、脈が異常に早い・乱れる
このような症状があれば、フスコデを中止し、すぐに医療機関を受診してください。
まとめ|フスコデと上手につき合うために
- フスコデは、よく効く病院の咳止めだが、そのぶん眠気・便秘などの副作用や注意点もある。
- 12歳未満の子どもには使わない薬。余っても絶対に他人に回さない。
- 妊娠・授乳中は、必ず医師に相談してから使用を判断する。
- 市販薬やお酒との併用は、副作用が強く出ることがあるので、控えるか必ず薬剤師に相談を。
- 数日飲んでも咳がよくならない、苦しくなる、血の混じった痰が出るときは、自己判断で飲み続けず再受診を。
フスコデは、使い方と注意点を押さえれば、つらい咳をしっかり和らげてくれる心強いお薬です。不安なことがあれば、「フスコデについて聞きたいんですが…」と遠慮なく薬剤師に相談してくださいね。