インフルエンザ

リレンザQ&A|よくある疑問を薬剤師が解説






リレンザQ&A|よくある疑問を薬剤師がやさしく解説


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リレンザQ&A|よくある疑問を薬剤師がやさしく解説

このページは、インフルエンザの吸入薬リレンザ(一般名:ザナミビル)について、初めてでも迷わないように基本をぎゅっと整理。
「どんな症状のときにおすすめ?」「吸い方は?」「ぜんそく持ちでも大丈夫?」など、薬局で本当によく聞かれる質問に、薬剤師が会話形式とQ&Aでお答えします。

要点だけ先取り
✔ インフルエンザA/Bに使う吸入粉末薬(口から吸う)
✔ 症状が出て48時間以内に開始するのが目安
✔ 1回2吸入=10mg1日2回×5日間(治療の一般例)
✔ ぜんそく・COPDの方は気管支けいれんに注意(発作止め吸入薬を手元に)
✔ 粉に乳糖を含むため、重い乳たん白アレルギーがある方は要注意

どんな症状におすすめ?(かんたん表)

場面 リレンザは? 理由・補足
高熱(38℃前後)・悪寒・筋肉痛・関節痛・頭痛・強い倦怠感が急に始まった ◎ 向いている 典型的なインフル像。発症48時間以内に開始すると効果が出やすい。
のど風邪・鼻かぜのように緩やかな症状 △ 要相談 インフルかどうか検査や流行状況で判断。通常のかぜに抗インフル薬は不要。
ぜんそく/COPDなど呼吸器疾患がある △ 慎重に 吸入で気管支けいれんの恐れ。使用可否は医師判断、発作止め吸入薬を先に吸う指示が出る場合あり。
重い乳たん白アレルギー × 原則避ける 粉末に乳糖(微量の乳成分)が含まれるため。
家族内で発症者がいて濃厚接触した ○ 予防目的で使うことも 医師判断で予防内服(1日1回)を行う場合あり。
5歳未満・吸入操作が難しい △ 別薬を検討 吸入手技が必要。年齢・体格・理解力で選択を。

※ ここでの「向き・不向き」は目安。最終判断は医師の診断と処方内容に従ってください。

吸入方法・タイミング・コツ

治療の一般的な使い方

  • 1回2吸入(5mg×2=10mg)1日2回、約12時間おきに、5日間
  • 食事の影響は少ないが、確実に吸えるタイミングで実施。発症後はできるだけ早く(48時間以内)に開始。

ディスクヘラーの基本手順(要点)

  1. 手を洗い、乾いた手で操作。装置(ディスクヘラー)に円盤状の薬(ロタディスク)をセット。
  2. レバーを操作して1つのブリスターに穴を開ける(開けるのは吸う直前)。
  3. 息を一度はき出して(装置に向かっては吐かない)、深く一気に吸い込む
  4. 5〜10秒ほど息止め→ゆっくり吐く。
  5. 同じ手順でもう1回吸入して、1回分(2吸入)完了。

※ 1枚のロタディスクは4カ所分の薬室。4回使ったら新しいディスクに交換。
※ 粉を飲み込む薬ではありません
※ 粉末は湿気に弱いので濡らさない
※ ネブライザーや加湿器に入れて使わないでください。

うまく吸えないときのコツ

  • 吸う直前に一度深呼吸して吐いてから、まっすぐ口でくわえて吸う。
  • むせる場合は、勢いを少しマイルドにしてもOK(ただし十分に深く)。
  • 粉の味がしなくてもOK。主成分は無味に近く、味や感触で効き目は判断できません
  • ぜんそくの方は、指示があれば先に短時間作用型β2吸入薬(発作止め)を使ってから。

飲み忘れ・失敗時

  • 12時間以上空けるのが目安。忘れに気づいたら、気づいた時点で1回分を吸入。次回は元の時間帯に。
  • 1回で2吸入できなかった場合、同じ孔を開け直さず次の薬室でやり直す。
  • 自己判断で回数を増やさない。不安なら処方元へ相談。

副作用と受診の目安

  • 比較的多い:咳込み、のどの刺激感、鼻・のどの違和感、頭痛。
  • まれだが注意気管支けいれん(ゼイゼイ、胸苦しさ)、発疹・じんましん・呼吸困難(アレルギー)、意識がもうろう・異常言動(インフル自体でも起こりうる)。
こんなときは受診を
・吸入後に急な息苦しさやゼイゼイが出た/悪化する
・高熱が3日以上続く、ぐったりして水分がとれない、胸痛、再び悪化
・強い発疹・かゆみ、顔や喉の腫れ

ワクチンは引き続き大切です。抗インフル薬はワクチンの代わりにはなりません

妊娠・授乳中の注意点

  • 妊娠中:データが限られるため、妊婦さんでは内服薬(例:オセルタミビル)を優先して選ばれることがあります。妊娠中・妊娠の可能性がある場合は必ず事前に伝えてください。
  • 授乳中:吸入で全身移行は少ないと考えられますが、十分な情報はありません。医師と相談のうえ継続可否や授乳タイミングを決めましょう。赤ちゃんの発疹・下痢・機嫌なども観察を。
  • 共通:高熱・脱水は母体にも赤ちゃんにも負担。早めの受診と水分補給を優先しましょう。

薬剤師と患者さんの会話でイメージ

👤
リレンザって、飲み薬じゃないんですね?

💊
はい、口から吸い込む粉末薬です。1回に2吸入して、朝晩で5日間続けるのが一般的です。

👤
吸った感じがあまりしないんですが、効いてるのか不安で…。

💊
主成分はほぼ無味無臭なので味や粉っぽさは目安になりません。深く吸えていればOKです。心配なら操作を一緒に確認しましょう。

👤
ぜんそく持ちですが使えますか?

💊
使える場合もありますが、気管支けいれんに注意が必要です。指示により発作止め吸入薬を先に使ってから吸うことがあります。ゼイゼイしたらすぐ連絡を。

👤
粉に乳糖が入ってると聞きました。牛乳アレルギーが心配です。

💊
重い乳たん白アレルギーがある方は避けることがあります。心当たりがあれば必ず医師・薬剤師に伝えてください。

👤
家族にうつさないために、家族もリレンザを吸った方がいい?

💊
状況によっては予防内服を使うことがあります(1日1回)。ただし全員に必要ではありません。医師に相談し、手洗い・換気・マスクも徹底しましょう。

よくある質問Q&A(18問)

Q1. A型・B型どちらにも効きますか?
はい、どちらのインフルエンザにも使われます(効果の実感には個人差があります)。
Q2. 何時間以内に始めればいい?
発症から48時間以内が目安。早く始めるほど回復が早い傾向です。
Q3. 年齢制限はありますか?
吸入の手技ができることが条件です。小さなお子さん(概ね5歳未満)や手技が難しい場合は別の薬を選ぶことがあります。
Q4. ぜんそく/COPDですが使えますか?
医師判断で使うことがありますが、気管支けいれんに注意が必要です。発作止め吸入薬を事前に使う指示が出ることも。
Q5. 乳製品は一緒に避けた方がいい?
口から吸う粉末薬なので、食事・乳製品の同時摂取は問題になりません。ただし薬剤自体に乳糖(乳由来成分)が含まれるため、重い乳アレルギーの方は注意が必要です。
Q6. 1回分は「2吸入」って本当?
はい。5mg×2吸入=10mgで1回分です。朝と夜の1日2回行います。
Q7. 吐いた/むせた/うまく吸えなかったら?
同じ孔を開け直さず、次の薬室で2吸入をやり直してください。自己判断で回数を増やさず、心配なら処方元へ連絡を。
Q8. 予防内服はどう使う?
医師の判断で、1日1回の吸入を一定期間(例:家庭内暴露で10日間など)行うことがあります。全員に必要ではありません。
Q9. 他の抗インフル薬と比べると?(タミフル・イナビル等)
リレンザは吸入で5日間、イナビルは単回吸入、タミフルは5日間内服など、使い方が異なります。年齢・基礎疾患・妊娠などで最適薬は変わります。
Q10. ワクチンは要らなくなりますか?
いいえ。抗インフル薬は治療・予防の一手段であり、ワクチンの代わりにはなりません
Q11. 運転やお酒は?
眠気は通常強くありませんが、発熱・脱水で判断力が落ちます。運転は回復してから。アルコールは控えめに。
Q12. 他の薬との飲み合わせは?
全身吸収が少なく相互作用は少なめですが、ぜんそく治療薬総合感冒薬と重なる場合は成分の重複に注意。お薬手帳を見せてください。
Q13. 異常行動のニュースが心配…。
インフルエンザ自体でも起こり得ます。お子さんは発熱初期の夜間など特に目を離さないようにしましょう。
Q14. うがいは必要?口の中に残って心配。
必須ではありませんが、のどの違和感が強い場合のみ軽くうがいをして構いません。強いうがいで薬を吹き飛ばす必要はありません。
Q15. 装置は共有してもいい?
いいえ。患者さんごとに専用です。他の人と共用しないでください。
Q16. 保管の注意は?
湿気と高温を避ける、開封後は指示どおり使用。ブリスターに穴を開けたらすぐ吸入し、濡らさないように扱います。
Q17. 学校や仕事への復帰のタイミングは?
解熱後もしばらく感染性が続くことがあります。学校や職場のルールに従い、体力が戻ってから復帰を。具体的な日数は医療機関や施設の指示を確認してください。
Q18. 検査キット(抗原/PCR)に影響は出ますか?
リレンザは検査結果を直接変える薬ではありません。ただし、治療開始後はウイルス量が減って陰性化が早まる場合があります。

まとめ(まずはここだけ)

・リレンザは口から吸う粉末薬1回2吸入朝夕×5日が一般的。
48時間以内に開始、手技が難しい場合は別薬も検討。
ぜんそく/COPD・重い乳たん白アレルギーの方は必ず申告。
・息苦しさ・強い発疹など異常時はすぐ受診


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