亜鉛華軟膏(あえんかなんこう)|やけど・かぶれの「守る」塗り薬
非ステロイド
赤ちゃんOK
保護バリア
赤ちゃんOK
保護バリア
主成分:酸化亜鉛(Zinc Oxide)10〜20%。皮膚表面に薄い膜をつくって刺激から守り、じゅくじゅくをしずめます。
目次
🗣️ 患者さんとの会話でやさしく解説
👩
「この白い“亜鉛華軟膏”って、結局何に効くんですか?」
👨⚕️
「酸化亜鉛が皮膚に保護バリアをつくって、ヒリヒリ・かゆみ・じゅくじゅくを落ち着かせます。おむつかぶれ・汗疹・軽いやけど・擦り傷・湿疹の保護に使います。」
👩
「ベタつきますか?」
👨⚕️
「ややこってり。水をはじく感じで、膜を作って守るイメージ。香りはほとんどありません。」
👩
「いつ塗ればいいですか?」
👨⚕️
「基本は1日1〜数回。入浴後やおむつ替えのたびに薄く。清潔→よく乾かす→薄く保護がコツです。」
👩
「化膿してたら?」
👨⚕️
「膿・強い痛み・熱感・広がる赤みがあれば受診を。深い傷や水ぶくれが破れた所には自己判断で使わないでくださいね。」
💊 基本情報(効能・費用・テクスチャー)
成分と働き
- 酸化亜鉛(10〜20%):皮膚保護・乾燥収れん作用
- 刺激を遮断して回復をサポート
- 非ステロイド・非抗菌薬
対象となる症状
- おむつかぶれ・汗疹(あせも)
- 軽いやけど(Ⅰ度)後の保護
- 湿疹や擦り傷の保護・摩擦部のかぶれ
費用の目安
保険処方:25〜50gで数百円以内の自己負担になることが多いです(3割負担例/製剤・規格で変動)。
市販:30〜50gで300〜600円前後が目安。
テクスチャー(塗り心地)
- こってり・白色で伸びは中程度
- 水をはじきやすくバリア性が高い
- におい・味:ほぼ無し(※食用ではありません)
回数・量
- 1日1〜数回
- 薄くのばすで十分(白さがほんのり残る程度)
- ガーゼに塗って保護シートとして使うのも可
🧴 使い方:失敗しない5ステップ
- 洗う:患部を流水でやさしく洗う・汚れを落とす(やけど直後は冷却を優先。氷は不可)。
- 乾かす:タオルでポンポンと水分を取り、完全に乾かす(ここ重要)。
- 塗る:薄く一層。こすらず置いてのばすイメージ。
- カバー:衣類が擦れる部位はガーゼで軽く保護。
- 見直す:赤みや痛みが増す・膿む・広がる→中止して受診。
分離してやわらかくなったら、清潔なヘラや綿棒で軽く混ぜ直すと使いやすくなります。
🧩 シーン別のコツ
おむつかぶれ
- おむつ替えのたびに薄く。便で汚れやすい部位はやや厚め。
- 洗浄はぬるま湯で。こすらず押さえる。
- 2〜3日で改善が乏しければ受診。カンジダの可能性も。
軽いやけど(Ⅰ度)後の保護
- まず10〜20分流水で冷却。氷直当ては不可。
- 皮膚が破れていない・浅い熱傷に保護目的で。
- 水疱が大きい/破れた/痛みが強い→受診。
湿疹・擦れ(関節・マスク部位など)
- 摩擦部位のクッション兼バリアとして有用。
- 乾燥を感じる時は保湿剤を併用(順番は下記参照)。
じゅくじゅく(滲出が多い時)
- ガーゼに軟膏をのせ「貼るバリア」に。
- 悪化・悪臭・熱感→感染の可能性、受診。
🧱 他の塗り薬との重ね塗り順(基本)
| 目的 | 順番とポイント |
|---|---|
| 保湿と保護 | ①保湿剤(例:ワセリン/ヘパリン類似)→②亜鉛華軟膏 乾燥が強い時は下に保湿を。摩擦や水濡れリスクが高い部位は上に亜鉛華でフタ。 |
| ステロイドを併用 | ①ステロイド(炎症の根本に先に届かせる)→②亜鉛華軟膏(保護コート)。 時間があれば5〜10分おいてから重ねると◎。 |
| 抗菌外用(処方あり) | 医師指示に従う。一般には①抗菌→②保護の順。 |
⚠️ 使わない方がよいケース
- 深い傷・裂創・大きく破れた水疱(医療機関へ)
- 膿・発熱・広がる強い赤み(感染の可能性)
- 酸化亜鉛や添加物にアレルギー既往がある
赤ちゃん・高齢者でも使いやすい一方、密閉しすぎると汗疹が悪化することがあります。暑い時季は薄塗り+通気性も意識しましょう。
❓ よくある質問(Q&A)
Q1. 顔に使えますか?
A. 使えます。まぶた・口周りはごく薄く。化膿・ニキビの芯には自己判断で使わず受診を。
Q2. 何歳から?
A. 新生児から使用されます。おむつかぶれの定番です。
Q3. どれくらいで良くなりますか?
A. 軽いかぶれは数日〜1週間で改善することが多いです。変化がない・悪化する場合は受診。
Q4. ステロイドは入っていますか?依存が心配…
A. ステロイドは無配合。保護が主目的なので依存性の心配はありません。
Q5. 保管は冷蔵庫?
A. 室温でOK。高温多湿・直射日光は避けてください。
Q6. 衣服が白くなる…落とし方は?
A. 中性洗剤で予洗い→ぬるま湯でもみ洗い。残る時は酸素系漂白剤を。
Q7. どのくらいの厚さで塗る?
A. 薄く一層でOK。おむつ部の便で汚れやすい所のみやや厚め。
Q8. ヒリヒリします…副作用?
A. まれに刺激感や接触皮膚炎。赤み・かゆみが強い/悪化は中止して相談を。
🔍 似ている薬とのかんたん比較
| 製剤 | 得意なこと | 弱いところ | こんな時 |
|---|---|---|---|
| 亜鉛華軟膏 | じゅくじゅくを保護・刺激遮断・おむつかぶれ | ベタつき・白残り | 擦れ部の保護、軽いやけど後の保護 |
| 白色ワセリン | 保湿と物理的保護(刺激少) | じゅくじゅく自体は抑えにくい | 乾燥・ひび割れ・保湿の土台 |
| ヘパリン類似物質 | 保湿+血行促進で乾燥改善 | 滲出が多い創は不向き | アトピーの保湿、全身の乾燥 |
| ステロイド外用 | 炎症・かゆみを速やかに抑える | 長期・誤用の注意が必要 | 赤み・腫れが強い湿疹(医師指示) |
🤰 妊娠・授乳中の注意点
- 皮膚からの全身吸収はごくわずかで、一般的に安全性は高いと考えられています。
- 広範囲・長期連用は自己判断で続けず、医師・薬剤師に相談を。
- 乳頭ケアに使う場合:授乳直前に拭き取り、授乳後に清潔・乾燥→薄塗りで。
🧺 保管・衣類の白残り・使用期限
保管と期限
- 室温・遮光保管。開封後は6か月目安(見た目・においに異常がないこと)。
- 分離したら清潔なヘラで軽く撹拌。
白残り対策
- 昼間はごく薄く/寝る前はやや厚めで使い分け。
- 衣類は中性洗剤→ぬるま湯でもみ洗い→酸素系漂白剤で仕上げ。
まとめ:亜鉛華軟膏は「守る」ことが得意な定番外用。
清潔→乾燥→薄塗り→観察の流れを守れば、赤ちゃんから大人まで幅広く活躍します。
清潔→乾燥→薄塗り→観察の流れを守れば、赤ちゃんから大人まで幅広く活躍します。