水は多く飲んでも平気? — 熱中症対策の「正しい水分補給」を薬剤師が会話形式で解説
水分は大切。でも「飲みすぎ」も体に負担。こまめに・適量・シーンに合わせてが熱中症対策のコツです。
患者さん:夏は熱中症が心配なので、とにかく水をたくさん飲んでおこうと思うんです。
水ならいくら飲んでも平気ですよね?
水ならいくら飲んでも平気ですよね?
薬剤師:水分補給はとても大切ですが、「飲みすぎ」も注意が必要です。
一度に大量に飲むと腎臓で処理しきれず血液が薄まり、低ナトリウム血症(水中毒)を起こすことがあります。
一度に大量に飲むと腎臓で処理しきれず血液が薄まり、低ナトリウム血症(水中毒)を起こすことがあります。
患者さん:水でも具合が悪くなることがあるんですね…。どれくらい飲めばいいんでしょう?
薬剤師:目安は、1時間にコップ1杯(200mL前後)をこまめに。
1日全体では個人差がありますが、食事からの水分も含めて、飲み物としては1.2〜1.5L程度を目安にし、汗を多くかく日は上乗せしましょう。
1日全体では個人差がありますが、食事からの水分も含めて、飲み物としては1.2〜1.5L程度を目安にし、汗を多くかく日は上乗せしましょう。
患者さん:お茶やスポーツドリンクはどう使い分けたらいいですか?
薬剤師:普段は水・麦茶が基本。汗をたくさんかいたら、経口補水液(ORS)や薄めたスポーツドリンクを活用すると、塩分・糖分が補えます。糖分が多い物のがぶ飲みは控えましょう。
患者さん:わかりました。じゃあ「こまめに・適量」が大事なんですね。
薬剤師:その通り!
のどが渇く前に少量ずつが熱中症予防のコツです。持病や利尿薬の有無で調整が必要なこともあるので、心配な方は個別にご相談ください。
のどが渇く前に少量ずつが熱中症予防のコツです。持病や利尿薬の有無で調整が必要なこともあるので、心配な方は個別にご相談ください。
結論:水は大切。でも「一気大量」や「過度な飲み過ぎ」はNG
- 基本は 1時間にコップ1杯(約200mL) をこまめに。
- 飲み物として1.2〜1.5L/日を目安に。汗を多くかく日は上乗せ。
- 普段は水・麦茶、大量発汗時は経口補水液(ORS)や薄めたスポドリを活用。
- 一気飲み・短時間での多量摂取は低ナトリウム血症のリスク。
場面別:おすすめの飲み物と量のコツ
場面 | おすすめ | 理由・コツ |
---|---|---|
日常(軽い活動) | 水・麦茶 | カフェイン少なめで利尿が強すぎない。 のどが渇く前に、1時間に1杯を目安。 |
屋外作業・運動で大量発汗 | 経口補水液(ORS)/薄めたスポドリ | 汗で失う塩分・糖分を補える。 「甘い×大量」が続かないよう適量に。 |
寝起き・入浴前後 | 水 | 脱水を防ぐため少量ずつ。 入浴前後で各コップ半分〜1杯。 |
高齢・食が細い | 水・麦茶+味噌汁/スープ等の食事水分 | 食事からの水分も活用。塩分制限中は種類・量に注意。 |
カフェインが気になる | 麦茶・ルイボス等 | 利尿が強すぎず、就寝前にも向く。 |
飲みすぎのサイン & 受診目安
- 頭痛・吐き気・むくみ・だるさ、意識がもうろう → 水中毒(低Na血症)の可能性
- 尿が極端に透明で回数が多い/短時間で大量に飲んだ
- めまい・手のしびれ・筋けいれん
すぐ受診/救急相談:意識障害、けいれん、嘔吐が続く、動けないほどの倦怠感がある場合は速やかに医療機関へ。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「水は多いほど良い」は本当?
いいえ。必要量を超えた一気飲みは体液の電解質バランスを崩し危険です。こまめに分けて飲みましょう。
Q2. 体格でどれくらい飲めば?
ざっくりの目安として体重×30mL/日(飲み物量)を参考に。例:体重60kg → 約1.8L/日。
ただし、発汗・気温・持病で調整が必要です。
Q3. お茶は全部OK?
カフェインの多いお茶・コーヒーは利尿で出やすくなる場合があります。麦茶・水を基本に。
Q4. こんな人は必ず個別相談を
- 心不全・腎機能障害・肝硬変などで水分制限がある方
- 利尿薬・SGLT2阻害薬などを服用中の方
- 低Naの既往、妊娠後期、重い下痢・嘔吐が続く時
主治医・薬剤師に必ずご相談ください。
まとめ:こまめに・適量・シーンに合わせて
- 基本は1時間にコップ1杯を分けて飲む。
- 1.2〜1.5L/日(飲み物)+食事の水分。汗が多い日は上乗せ。
- 普段は水・麦茶、大量発汗時は経口補水液を活用。
- 一気飲みはNG。体調に不安がある場合は個別に相談。