血圧に関するお話

降圧薬の種類と効果を徹底解説|薬剤師が4タイプの特徴・副作用・飲み方をやさしく紹介






降圧薬、どれがどう効く?薬剤師がやさしく徹底解説


やさしく理解
患者さん向け

降圧薬、どれがどう効く?薬剤師がやさしく徹底解説【会話形式】

「種類が多くて覚えられない…」という声に、会話でスッと入る整理法。副作用や飲み方のコツもまとめました。

この記事でわかること

  • 降圧薬を「どこに効くか」で4群に整理
  • 代表薬・よくある副作用・向いている場面
  • 毎日続けるためのコツと自己管理のポイント

会話で理解する:まずは全体像

患者さん
薬の名前が難しくて…結局どれがどう効くのか分からないんです。

薬剤師
大丈夫。「どこに効くか」で整理すると一気にわかりやすくなります。
①血管を広げる、②心臓の働きをゆるめる、③体の水分を減らす、④神経の指令を弱める——この4つが軸です。

患者さん
ホース(血管)が太くなると圧が下がる、みたいなイメージですね。

薬剤師
その通り。加えて、臓器を守る効果が期待できる薬もあるので、数字だけでなく“守る”視点も大切です。

1⃣ 血管を広げるタイプ

主な薬:カルシウム拮抗薬(アムロジピン、ニフェジピン 等)/ACE阻害薬(エナラプリル 等)/ARB(ロサルタン、テルミサルタン 等)
しくみ:血管の筋肉が縮む合図をブロックして、血管径を拡げる → 圧が下がる
  • カルシウム拮抗薬 立ち上がりが比較的早い。むくみ・ほてりに注意。
  • ACE阻害薬 アンジオテンシンII産生を抑制。空咳が出ることあり。
  • ARB 受容体ブロックで血管を広げる。空咳は少ないが、カリウム上昇に注意。

2⃣ 心臓の働きをゆるめるタイプ

主な薬:β遮断薬(ビソプロロール、アテノロール 等)
しくみ:心拍・収縮力を落として心臓のポンプ圧を下げる
  • 狭心症・不整脈・心不全の合併に有用な場面あり。
  • 徐脈、気管支喘息の方は適応・用量に注意。だるさ・冷感を感じることも。

3⃣ 体の水分を減らすタイプ(利尿薬)

主な薬:サイアザイド系(ヒドロクロロチアジド 等)/ループ利尿薬(フロセミド 等)
しくみ:尿量を増やして血液量を減らし、圧を下げる
  • サイアザイド系 高齢者にも使いやすいが、低Na/低Kになりやすいので定期採血を。
  • ループ 浮腫・心不全で力を発揮。長期の純降圧目的ではやや限定的。

4⃣ 神経の指令を弱めるタイプ

主な薬:中枢性(メチルドパ、クロニジン 等)/α遮断薬(ドキサゾシン 等)
しくみ:交感神経の「上げる合図」を弱め、血管を広げる
  • 中枢性は眠気・だるさに注意。
  • α遮断薬は排尿症状の改善にも使われるが、立ちくらみに留意。

サッと比較:どれがどう効く?

代表薬 主な作用 よくある副作用 ひとこと
血管拡張 アムロジピン/ロサルタン 等 血管平滑筋をゆるめ圧低下 むくみ、ほてり/空咳(ACE) 初回から効きを実感しやすい
心拍出↓ ビソプロロール 等 心拍・収縮力を抑制 徐脈、だるさ、冷感 心臓疾患合併で有用
利尿 HCTZ/フロセミド 血液量を減らす 低K・低Na、脱水 採血フォローが鍵
神経調整 ドキサゾシン 等 交感神経の合図↓ 立ちくらみ、眠気 排尿症状にプラス効果

続けるコツ:自己管理のポイント

  • 時間を固定朝食後など、毎日同じタイミングに。
  • 急にやめない:自己判断の中断はリバウンド上昇の原因。
  • 血圧手帳:朝晩・1〜2回/回を記録し、受診時に共有。
  • 副作用は相談:むくみ・咳・立ちくらみ等は我慢せず伝える。
  • 相互作用:市販薬・サプリも含め、追加前に薬剤師へ。
覚えておきたい一言:降圧薬は数字を下げる薬であると同時に、脳・心臓・腎臓を守る薬です。
この記事は一般向け解説です。治療内容は年齢・合併症・検査値などで個別に調整されます。処方の変更や中断は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。